丑寅(うしとら)のかなたより生まれし身なれば
闇のうち
生玉(いくたま)、足玉(あしだま)、死返玉(しにがえしだま)
鬼もぢに飾り 赤色の楯矛(たてほこ)を祭れ
おいらかに 向火(むかえび)つけ焼き退(しりぞ)けて
闇のうち
髻華(うず)の木、比比羅木(ひいらぎ)、白膠(ぬりての)木
理が非に落(お)つれば
黒色楯矛(もの)祭れ
まぼろばは(安平ならむ) 花信風(かしんぶう)
あかしとてとほれ とてもかくても
深山木(みやまぎ)に(東風吹きまどふ) かくもがと
朝踏ますらむ 行きて見むため
奥底の根の国より あらわれいでて
八尋矛(やひろほほ)
色濃く染めた紐で縛り
虚(そら)よ翔(かけ)りいかむ
鬼神(きじん)に道なくば
険(さが)しみと(みやま恐み) 我がなづみ
この世なる間(ま)は やむときもなし
天地(あめつち)を(うしはく神の) 荒御霊(あらみたま)
こころえむやも ひとりし思えば
鬼ここめ、邪(よこしま)、ゆめ!